よくある質問

解答:土壌の酸性には「活酸性(H2O)」と「潜酸性(KcL)」という2種の酸性があります。そして、土壌が酸性を示すのは、土壌中の酸性物質と土壌のコロイドに吸着されている。水素イオンとアルミニウムイオンによるものです。土壌に水を加えて、その水分中に乖離した水素イオン濃度の測定値をpH(H2O)といいます。pH(KcL)は中性塩(kcl)を使って交換抽出する交換酸度と言われる土壌コロイドに吸着されている水素イオン(活性アルミニウム)を交換させて水溶液に移行させた酸度の測定です。つまり、水に乖離した水素イオンに中性塩で交換された酸度の両者を測定しているのがpH(KcL)と言われるものです。したがって、pH(H2O)よりもpH(KcL)の方が、通常では酸性度は低い値となります。

解答: 土壌中のECの高低メカニズムは、電離度(イオン化)の大きい溶質、例えばNO3-N(硝酸態窒素)・硫酸、塩酸・ナトリウムなどの溶質が土壌中の水分(溶媒)に多量に溶け込んでいると、電気伝導度が大きくなりその要因で土壌中の浸透圧が上昇してきます。本来、作物の根は土壌中の浸透圧よりも高く維持しており、この物理的機構で土壌中の養水分を根に取り込む生理活性が行われております。ところが、逆に土壌中の浸透圧の方が高くなると、根に養水分を取り込めなくなります。それどころか、ECが高くなるという現象は作物から養水分が逆流することもあります。そして、この状況が進行すると、作物は栄養不足になると共に、根は死滅し生育に大きなインパクトを与える事とになるのです。

解答: 土壌中の窒素含量は0.1〜0.5%程度です。仮に土壌の比重を1.0とすると、10a当たり約100〜500kgの窒素が存在しています。しかし、この大部分は腐植、有機物、生物遺体などによる有機体窒素であり、作物には利用されません。作物が利用する窒素の形態は、アンモニウム態や硝酸態ですが一般に土壌中の有機体窒素が分解によって放出されるアンモニウムは一作期間中で、10a当たり5〜15kg程度です。したがってマメ科以外の作物では肥料として窒素を補う必要があります。そして、特別な場合を除いて肥料の窒素成分はアンモニア態窒素です。有機肥料を施用しても土壌内でのアンモニア化成作用で無機化が生じます。そして、水田などの嫌気的条件では窒素はNH4-Nで止まりますが、好気的条件下では硝酸化成菌により短時間でHNO2→NO3-Nに変化します。したがって、基本的には嫌気的条件を好む作物はNH4-Nを好み、好気的条件を好む作物はNO3-Nを好むと言われます。

解答: 作物の生育障害因子は、一般的に「必要な養水分を、必要な時に、必要な量を」体内に吸収維持する事が不可能になった時や「光合成活動が弱体化」した時などに生起します。また、その原因は、おおよそ3種に分類されます。1)化学性(土壌中の養分の過不足、農薬不適正施用など)、2)物理性(土壌の固相・液相・気相、温度、日照量、などの生育環境)、3)生物性(病原菌、種苗の良否など)です。この3種類の考えられる要因を抽出し消去法で処理していけば、最後に残った要因が主因として推測する事が可能となります。また、この消去法を使う場合には、土壌分析など専門分野に依頼する必要もあります。そして、ある程度、推測できた時点で専門的な技術者に解明を依頼すれば、推測から原因究明までが早まることになります。

解答: まず、有機物の意義を考察してみると、地球上に植物が上陸して数億年が経過していますが、この長い時間に、地表面で進行した物質とエネルギーの循環で生まれたのが「生きている土」と言われる物質です。これを人類が生存の必要性から利用する事によって、今日の繁栄に至っていると言っても過言ではありません。この物質・エネルギーの循環に最も重要な働きをしたのが「有機物」です。現在の短期連輪作を基本とする集約野菜栽培を有機物なしで行うと、有機物の集積や分解の平衡状態を撹乱して不毛の地となるリスクがあります。一般的な施用効果は、養分の緩効的、総合的補給、養分の保持力、一次・二次団粒の生成、微生物のエネルギー源など多様な施用効果があります。しかし、有機物はその種類(C/N比)によって異なり、その違いによって、その効果や生成時間も異なります。さらに、「土性」や「土質」によってもその効果は大きく異なります。その圃場の特徴や有機物の特性によって施容量などを調整しないと、施用効果が反転するリスクもあるのです。また、有機農業(堆肥のみ)が効果があるのは、ごく限られた局所的技術であり、大規模な技術としては現状に適していないと言えます。現状では有機物(堆肥など)の特性を考慮し、有効な施容量を投入して、その上で、有機肥料・無機肥料を効果的に施用することが重要と言えます。

解答: 「腐植」=「地力のもと」と言われますが、腐植は土壌(粘土)のことよりもはるかに分かっていません。このことが腐植に対する見解が人によって大きく異なる原因といわれております。腐植を土壌から分離抽出を行う場合にも、その分離抽出液や方法によって、腐植と言われるものの性状に違いがあります。極論を言えば、どの状態を腐植と確定するかが確定されていないと言えます。一般的に言えば土に黒色や暗色を付けているのが、腐植とか土壌有機物と言われるもです。粘土が岩石や鉱物が風化して生成されているのに対して、腐植は植物の死骸が微生物の作用を受けて分解されたり合成されたりして生成されたものです。分解された植物遺体は最後にリグニンという物質が残されるが、これは微生物による分解が困難な物質であるとされています。これが、ゆっくりと分解を受けながら、リグニンの変質物となりさらに、微生物や小動物(小昆虫類など)の遺体から供給されるタンパク質は腐植の給源となります。これらの変質物が結合作用によって土壌粒子と膠質物質を生成されたのが腐植という物質といわれています。腐植は養分の供給や土壌CECの増加、さらには、土壌の物理性の改善にも寄与する物質です。そして、最も重要な特性は土壌の緩衝能力を向上させるお大きな機能を有します。

解答: 塩基とは、酸と結合して中和する成分であり、土壌の場合、主にカリウム、カルシウム、マグネシウムを意味しています。一般に塩基類単独での過剰害は現れにくいが、過剰になるとpHが高くなり過ぎたり、あるいは他の塩基成分の吸収を阻害して欠乏を引き起こす場合があります。したがって塩基類は濃度ばかりではなく、他の塩基とのバランス(塩基状態)が重要と言われます。植物によるカリウム、カルシウム、マグネシウムの吸収は、相互に抑制的に働く(拮抗作用)、すなわち、カルシウムの吸収は、マグネシウム、カリウムの多用で抑制され、マグネシウムの吸収は、カリウムの多用で抑制される。また、カリウムの吸収は、カルシウム、マグネシウムの多用で抑制されます。ただし、影響の大きさは電荷が1価イオンのカリウムで大きく、カリウム過剰による2価イオン(特にマグネシウム)の吸収抑制が起こりやすいと言われます。

解答: 施肥したリン酸の大部分は土壌中でカルシウム、鉄、アルミニウムなどのイオン(カチオン)と結合します。また、鉄やアルミニウムと結合したものは、水に難溶性のリン酸にリン酸に変わっているので、作物に吸収されにくくなります。さらに、pHもリン酸の固定に影響し、特にpHが低下すると活性アルミの溶出が多くなりリン酸の固定力が増すようになる。また、リン酸は土壌の種類などにより施用リン酸の固定化割合が大きく異なり、特に黒ボク土のような火山灰土についてはリン酸の固定割合が高い。リン酸吸収係数は土壌100gが吸収固定するリン酸の量をmgで表したものですが、通常はmgの単位は付けないことになっている。一般にリン酸吸収係数が1.500を超える土壌には、必要施用量のリン酸量以外に鉄やアルミニウムに固定されにくい「く溶性リン酸」を追加して施用することが推奨される。

解答: 作物生長にとって窒素は「最重要な養分」といえますが、逆に「最もデリケートな養分」とも言えます。通常、土壌中の無機態窒素は、アンモニア態窒素と硝酸態窒素の2種類の窒素がありますが、アンモニア態窒素はプラスの電荷を有する窒素であり、硝酸態窒素はマイナスの電荷を有しています。土壌中でアンモニア態窒素が多くなると、根からの養分吸収面では拮抗作用(二つの要因が互いにその効果を打ち消し合う作用)によりカルシウムやマグネシウムなどの吸収が低下する要因となり、条件によってはアンモニアガスが発生し作物を加害することがある。また、、硝酸態窒素は降雨や水分供給時に土壌中で移動しやすくなり、過剰の場合はECが高くなり、根に障害を与える。窒素過剰障害として果菜類では落蕾、落花、乱形花、茎の穴あき、つるぼけ花芽分化の遅延などがあり、葉菜類では、心腐れ、縁腐れなどが発生する。